更新稼ぎのテキスト無駄話コーナーもついに6回目。これからもよろしく!





 【教祖】
こんにちわ!
僕は原発を愛する宗教団体「原発教」の教祖様だよ!
昨日やっと黄色い救急車から生還したんだ、
これからもよろしくね!!





  【主人公】
意外に出所早かったな。
あ、どうも、近所の人間です。
茶飲み話しにきました。





 【教祖】
……あれ、君?
軍の命令で僕を暗殺するために派遣されたスナイパー、とかって話は?





  【主人公】
そんな中学二年生が好きそうな設定はもういいじゃないですか。
全然生かされてないし





 【教祖】
いいんかい。
君の設定そんなずさんな扱いでいいんかい。 そうなると、君は単にガスマスクでコスプレしたヘンな人ってことになってしまうよ!?





  【主人公】
別にいいですよ。
あ、それで今回のテーマは、
『原発議論の人たちが怖いのはなぜ?』
ってことですが。





 【教祖】
いいんだ……本当にいいんだ。
しかし今回もまたひどいテーマだね。原発議論って何?
……あ、裏にメモ書きがある。「推進・反対派のみなさんのことです」
あーなるほどね。
目を据わらせて議論あそばしている皆様方のことですね。
確かにあれは怖い。






  【主人公】
貴方でも怖いんですか……?





 【教祖】
なにその反応。





  【主人公】
いえ、特には。
それにしても、議論している方々には独特の怖さがありますよね。
場外乱闘というか、泥仕合有刺鉄線ドジョウ投げつけあいデスマッチというか。
言ってることは一見マトモそうなのになあ……





 【教祖】
僕もあの怖さが欲しいな。





  【主人公】
は?





 【教祖】
最近、ちょっと信仰に停滞を感じていてね。
もっとこう、狂信!って感じで原発様を崇めたいよ!





  【主人公】
はあ!?
いや今でも十分……





 【教祖】
よし、彼らの怖さの原因を探求しよう!
そして僕の信仰をレベルアップするんだ!!





  【主人公】
何を言ってるんですか!?





 【教祖】
よし、じゃあまず彼らの「マトモじゃないところ」をみていこう!





  【主人公】
貴方が一番マトモじゃな……
って、マトモじゃないところからなんですか!?
そこはマトモなところからいきましょうよ!





 【教祖】
なんでさ!?






  【主人公】
いや……ホラ、
派手なところばかり見ちゃいけないっていうじゃないですか





 【教祖】
……ふむ。
君、たまにまっとうなこと言うよな。




  【主人公】
いつもまっとうなつもりですが……






 【教祖】
よし、ではまずマトモそうなところから見ていこうじゃないか。
じゃ君、マトモだと思うところは何がある?





  【主人公】
え、僕が言うの?
え……うーん。
そうですよね、たとえば、日本の反対派の人は『子供の命を守れ』って言ってますよね。このへんとかマトモじゃないですか? 大事なことだって、同意できるというか…。






 【教祖】
ほうほう。推進派は?





  【主人公】
えっと、そうだなー。
そっちは『原発を動かさないと電気が足りなくて、経済にとってよくない』って言ってますけど、これはマトモな主張だと思うんです。
まあ命と経済どっちが大事なんだって問題はありますけど、経済が悪くなって失業者が次々に自殺…とかもあるかもしれませんしね





 【教祖】
なるほどね。
ふむ……君が挙げたところはどちらも、
「昔そういうことが本当にあったから、今も起こるかもしれない」って話だね。





  【主人公】
そういうことが本当にあった?





 【教祖】
うん。たとえば、子供の命を守れという主張。
これは、チェルノブイリ事故のときにたくさんの子供達に健康被害が出たことがもとになっているんだ。
あのときは、特に甲状腺がんがひどくて、チェルノブイリの首飾りというものが有名になった。





  【主人公】
たしか、手術跡ですよね。





 【教祖】
そう。子供は放射線にすっごく影響されやすいから、子供達の健康についてはよく気をつけておかねばならない。これは、過去からの確かな教訓だよ。





  【主人公】
……。
じゃあ、推進派の『原発を動かさないと電気が足りなくて、経済にとってよくない』という話は、なんかあったんですか?





 【教祖】
チェルノブイリ原発は、事故のあと14年ぐらい動いてた。
電気足りなくて





  【主人公】
は!?






 【教祖】
まじまじ。





  【主人公】
え……動かせたんですか?





 【教祖】
うん、 事故があったのは4号炉だけだからね。
しかし、あんなことがあった後もコキ使われるなんて!
原発様がお労しい! 全く人類は狂ってる!





  【主人公】
アンタはそういう反応なんだ……





 【教祖】
そうだよ!! 神の奇跡である大いなる原発様を!
たかが経済のために! たかが人間ごときの都合のために!
あんな悲劇が起きた後も酷使し続けるだなんて!!
人類は正しい道を見失っている、僕はきわめてなげかわしい!!
最後の審判のとき、火の中に投げ入れられてしまえ!!





  【主人公】
その話長いんですかね?





 【教祖】
10時間ぐらい話せるけど聞くかい





  【主人公】
あーやだなー狂信者ってほんとやだなー





 【教祖】
これからは!!
ずっと狂信者のターンだ!!
さあ、マトモじゃないところを見ていくよ!?





  【主人公】
うわわわ嬉しそうだ!
物凄く嬉しそうだ教祖さん!
貴方は一体何を求めているんですか!





 【教祖】
熱い信仰へのヒントだよ!!
さて、たとえば反対派はココを外すわけにはいかないね。
『原発は危ない、即時撤廃を求める』





  【主人公】
危ないのはわかりますけど……即時撤廃って無理なんじゃ。





 【教祖】
このあたり凄くエネルギーを感じるよね!
「危ない≫即時撤廃」って、この強力な飛躍の仕方にしびれるよ!!




  【主人公】
しびれるな!!
いえでも実際、無理ですよね、即時撤廃とかって?






 【教祖】
無理とか言うな!!
信じることを君がやめてどうする!!
さあ! 更なる飛躍に向けてキックオフ!!



  【主人公】
何のサッカー始める気だアンタ






 【教祖】
超次元脱原発サッカー?



  【主人公】
そんなのないから






 【教祖】
しかしだよ君!
もし君が原発に反対するとしたら、その動機はなんだい?





  【主人公】
いや話聞けよ。 って、動機? あ、やっとまともな話に戻ったのかな。
まあ、やっぱり怖いからですかねえ






 【教祖】
そうだ!怖いんだ!
大事なのはその気持ち、そのエネルギー!!
原発が怖い、その気持ちさえあれば、
僕たちはエネルギッシュに反対できるんだ!!





  【主人公】
いきなり何盛り上がってるんですか!?





 【教祖】
盛り上がるよそりゃ!!
なにせ「原発は怖いもの」、
そう信じることは、ひとつの信仰なんだ!





  【主人公】
し、信仰??





 【教祖】
怖いと思い、その自分の偽らざる気持ちを信じるということ、
強く信じるその心、ピュアで純粋に信じきる尊い心というのは
それすなわち信仰だ!!
当然じゃないか!!





  【主人公】
無茶苦茶言ってるなあ!





 【教祖】
じゃ、君がもし原発推進派だったら、 どうして推進に賛成すると思う?





  【主人公】
え?
うーん……やっぱりこう、
原発動かさないと電気足らないし……
経済はすごい大事だからダメになったらいけないし……って感じですかねえ。





 【教祖】
君いいこと言うね!
そう、そうなんだよ、経済が大事と信じること、
それそのものが一つの信仰なんだよ!!





  【主人公】
えええっ!?
だ、だって、実際足らなかったら、
経済に打撃があるかもしれないじゃないですか!





 【教祖】
でもほら、自然エネルギーとか使って、
なんとかなるかもしれないじゃない!





  【主人公】
いやだって、全部「かもしれない」じゃないですか!
原発は一応ちゃんと今使えるわけですし……!


!-----ふやす




 【教祖】
いやいや、ここで大事なのはやっぱり、信じることなんだよ!
信じることは、信仰につながるのだから!
たとえば反対派は、「原発は怖いもの」ということを信じ、「恐ろしい原発を撤廃しなければ」という考えを崇めている!





  【主人公】
言えるんですかねえ……まあ、本気度からしたらそうかな。





 【教祖】
そして推進派は、「原発がないと大事な経済がダメになる」「経済は何よりも大事である」と、信じ崇めていると考えることができる。
これらは、事実に基づいている冷静な主張である部分もあるけれど、信仰の要素をもかねそなえているんだ。それはもう、しっかりとね!





  【主人公】
信仰??
貴方がそう言いたいだけなんじゃないんですかあ?





 【教祖】
君は疑りぶかいなあ。





  【主人公】
貴方じゃなかったらもうちょっと素直なんですがね。





 【教祖】
うむ、君のような子も頑張って屈服させてこそ、よき教祖というものだね。
僕も頑張らなきゃ☆
さて、最初に見たように、反対、推進どちらも、過去のできごとから未来の予測を立てて主張をしている。





  【主人公】
えっとー…『子供の命を守れ』っていうのと
『電気が足らないと経済が…』って話ですよね。





 【教祖】
そうだっ。
そして過去の例を根拠にモノを考えることは、科学的と言ってもいいだろう!
でも、未来がどうなるかなんて、本当は誰にも分からないんだ。





  【主人公】
え?





 【教祖】
だって、予測はしょせん、予測でしかないのだもの。
だから結局「どんな未来予測を正しいと思うか」っていうのは、「自分がどの説を信じているか」でしかないんだよ。
そして、自分の信じるもののために活動するのは、
僕はとても美しいことだと思うよ。
――まあ、信仰の自覚なしに「この主張は正しい」とか「科学的だ」って言うのはよくないけどね。大体は無自覚だろうから、信仰に自覚的になっていただければいいけど、もし自覚的にやっていたら、それは詐欺師だよ!





  【主人公】
は?
貴方が他人のことを詐欺師とか言うんだ?
えー……





 【教祖】
ん、君は僕の事を誤解しているね。
僕は原発様を本気で信じているんだよ?





  【主人公】
いえごめんなさい詐欺師よりタチが悪かった。





 【教祖】
そしてー! 
話を戻すと、原発についてはどの信徒が多数派かで、国の方針が決まっちゃうんだ!





  【主人公】
ええっ?
あ、そうか、多数派って選挙で勝てるから……。
へー……じゃあ、「原発は怖い」って信徒が多数派になっちゃった国とかあるんです?





 【教祖】
ドイツさんがいますね





  【主人公】
あそこそうなんですか!?





 【教祖】
そうだとも!
「英仏の文明なんか信じられるかクソが!
俺達は俺達の国の自然と文化を信じるぜ!!」
みたいな感じに、本気で脱原発やる気だよあそこ。
もともとヨーロッパの中では、原発と相性の悪い国ではあったと思うけど。





  【主人公】
へ、へー……





 【教祖】
しかしだよ。
僕は恥ずかしい。





  【主人公】
は?





 【教祖】
僕が……僕が、「原発愛」とかいって、平和的な布教にうつつをぬかしていた間に、反対派さんと推進派さんは、あんな血みどろの闘争を繰り広げておられたなんて! あれは「議論」だの「話し合い」だのというヌルいものではない、宗教戦争だ! どちらの神の加護が勝るかを賭け、抜き身の刀で心臓を抉り合っておられるのだ!!  こうしちゃいられない。
僕も、この楽しそう……じゃなかった、真剣な戦争に参加しなければ!





  【主人公】
言ったァッ! 今楽しそうって言っちゃったよアンタ!





 【教祖】
言わずにいられるか! 宗教戦争だぞ!?
まずは教団武装化だね! 兵器をがんばって開発しなきゃ!





  【主人公】
いややめろ、宗教団体がそういう生々しいこと言うの本当にやめろ。
うーん、やっぱり僕、この人ちゃんと暗殺したほうがいいのかなあ。





 【教祖】
えーそんな、暗殺とか物騒なこと言うのやめようよ。





  【主人公】
あんたが一番物騒なんだよ!!







おちまい


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